抹茶タケノコ

毎週日曜に小説の感想を投稿しています。

【感想】小説の一口感想まとめ その37

今週は手に取った作品がもれなく面白かったせいで読書モチベが永遠に続いてました。

この一言コメントのコーナー、何週ぶりだ?

 

というわけで、今週読んだ本の感想を軽く語る記事のその37です。

 

読んだ本には僕の好みへの適合度を示す指標として以下の基準で点数をつけていきます。

 

10~9:文句なしに好き。10点は特に好き

8~7:気になるところはあるけど見てよかった。面白かった作品。

6~5:面白かったけど、なんか気になる、もやもやするという部分が勝る作品。

4~3:最後まで見たけど、あまり感じるものがなかった作品

2~1:最後までみてもなんか納得できなかったり、無理して最後まで見た作品。

0:嫌い。

X:評価不可能

 

#69 十角館の殺人

 

十角館の殺人〈新装改訂版〉 「館」シリーズ (講談社文庫)

 

7点。

十角館という孤島に建てられた館で起こった連続殺人を扱ったミステリ。

 

怪文書が送られてくるところから物語は始まるのですが

怪文書がいたずらじゃないと思う根拠が「筆跡を残したくなくてわざわざワープロを使ってる」だったことに時代を感じます。

 

舞台となる館や孤島の図解が突然でてきて面食らったものの、

すべての前提条件が覆るトリックが違和感なく仕込まれていて

トリックに気づいたときはしてやれたなあ、って思いました。

 

あと、エピローグというか締め方もプロローグと繋がっていて読了感は非常に良かったのもおお気に入りポイントです。

 

ただ、

真相が犯人の独白で明かされた点は少し物足りなさを感じてしまいました。

まあ、そうしないとエピローグの良さが成立しませんし、

多分作者が一番書きたいポイントはここな気がするので・・・

仕方ないですね。

 

余談ですが、私はカタカナを覚えるのが苦手すぎたせいで、

真犯人の名前でてきたシーンで驚くことができませんでした。

ページの使い方が意味深だったのでなんとか感づくことはできましたが。

登場人物が多い推理ものはちゃんとメモとった方がいいですね。もったいない。

 

なお、感想を書くために読み返してみたら全然記憶にないページもでてきました。

読み飛ばしてしまったのか仕事の疲れで記憶から抜け落ちているのか……。

 

#70 最強にウザい彼女の、明日から使えるマウント教室

最強にウザい彼女の、明日から使えるマウント教室 (ガガガ文庫)

 

10点!!!!!!!!!!!!!

 

マウント合戦を勝ち抜き学園の頂点を目指すという字面だけだと意味の分からないストーリーですが、

これこれこれ! ライトノベルの良さってのはこれ! って言いたくなるぐらい面白い作品でした。

 

 

最高に頭悪いテーマを全力で描く! 

こういうライトノベルからじゃないと得られない栄養素っていうのは確実にありますよ!

 

コンセプト自体はトチくるっているのにマウントという行為に対する解像度の高さと研究量が尋常ではなくて、マウンティングバトルの優劣の解説の説得力が無駄に高いのが本当に面白い。

 

しかも、マウントという行為に属性分けができているうえに、

マウントの方向性で各キャラの個性を作り出せているのが意味わからないんですよね。

 

いや、素晴らしいし実際お話としてもかなり面白いんですけども!

 

設定やキャラクターの方向性の作りこみが緻密で

物語として非常にしっかりした土台が作れているのに

扱うテーマがマウンティングなので完成度の高さすら笑いに昇華してしまう。

でも間違いなく名作だと思います。

 

久々にいい本を読んだぜ。

 

#71 小説が書けないアイツに書かせる方法

小説が書けないアイツに書かせる方法 (電撃文庫)

9点。

 

2022年夏アニメの話題作『リコリス・リコイル』の原案者であるアサウラさんの新作でございます。

 

スランプに陥っていた小説家の少年の元に現れた謎の美女が「私の考えた小説を書かなければあなたの秘密をばらす」と脅迫して小説を書かせるという粗筋の作品です。

 

創作における「生みの苦しみ」というやつと切実に向き合う良い創作物語でした。

加えてヒロインこと謎の美女のキャラクターが本当にかわいくてよかったなって思います。

 

以上です。

 

……え?

 

9点も付けた割には感想がいつにも増して薄すぎないかって?

 

ええ。実はこの作品について語りたいことはたくさんあります。

 

ただ、本作で主人公たちが作る作品っていうのが世にいう官能小説ってやつなんですよね……。

 

このブログは極力健全な内容だけを書いていきたいわけでして、

本作の感想をきっちり書こうとすると超えたくないラインを越えてしまうのですよ……。

 

なので、詳細な感想は控えます。

 

ただ、アサウラさんはマジで面白いお話を書ける作家さんなので面白さは保証します。

 

ベン・トーとか大好きでしたし、リコリコも質の良い物語でした。

 

#72 隣の席の元アイドルは、俺のプロデュースがないと生きていけない2

隣の席の元アイドルは、俺のプロデュースがないと生きていけない2 (富士見ファンタジア文庫)

 

8点。

 

以前激推しした作品の2巻です。一生待ち望んでいた。

 

sol1116.hatenablog.com

 

1巻と同じく、ライトな文体なのに登場人物のセリフから感情とか背景に潜むずっしりとした重さを感じさせてくれる作品ですね。胃がいてえ。

 

この重さが心地よくて二巻もすごくよかったのですが、どうも二巻で終わり臭いんですよね。

 

だらだらと伸ばさない分綺麗に纏まっているのですが、

結構好きな作品だったがゆえに「あ、これで終わっちゃうんだ」と思えてくる終わり方だったのがすごく悲しい。

 

それゆえの8点ですね。ええ。2巻の内容にはほとんど関係ありませんとも。

 

これは個人の感性ではありますけど、

単巻完結なら「いい作品だったな~」と思えるのに、

2~3巻ぐらいだと「もっと続いてほしかったな~」が勝ってしまいます。

 

再会できたと思ったら急に別れを告げられたかのような気持ちになるんですよね。

 

単巻完結 or 8巻~12巻、ぐらいが個人的にはうれしいというか、後腐れのない長さです。

 

続刊、出るのかな……出てくれると嬉しいけどこれ以上やることなさそうだしあとがきからも出すつもりがなさそうなのがつらい。