抹茶タケノコ

毎週日曜に小説の感想を投稿しています。

【2022年振り返り】今年読んだ本で特に面白かったオススメ小説8選

はじめに

なんだかんだでこの1年弱の間、小説の一口感想まとめシリーズを毎週投稿し続けられれました。*1

 

今年の振り返りということで、今振り返ってみてもマジで面白かったなと思う作品を8作品、紹介していきたいと思います。

気になった作品があれば、年末年始休暇で帰省する際の移動中の暇つぶしにもでいかがでしょうか。

 

なお、シリーズものは1つにまとめて紹介します。

また、私が過去にこのシリーズを始める前に読んだ作品は(とらドラとか)除外します。

 

目次

 

俺の召喚獣、死んでる

俺の召喚獣、死んでる (富士見ファンタジア文庫)

 

あらかじめ言っておきますが、
この作品含めて最初に書く3つの作品は私の好みとか抜きにしたとしても、
ブッッッッチギリに面白かったです。

 

伝説の魔物の死体がパートナーになってしまった召喚術師が、あの手この手で死体を戦力として有効活用しようと試行錯誤するというお話です。

 

死体を有効活用するためのアイデアを試してみて、
反省点を見つけて、反省点を解決する……という試行錯誤を論理的かつ丁寧に展開されていく様子が本当に面白い。

 

作中で登場するアイデアはシンプルながら説得力があり、

「なんで死体を無理にでもつかわにゃならんの?」みたいな揚げ足も一通り対策されているので物語の軸が一切ブレないのです。

試行錯誤の過程から最後に強敵と戦い決着をつけるシーンまで、ずっと物語に集中させてくれ、楽しませてくれる、そんな作品です。

 

この作品を読んでからの9カ月に60冊以上読んできましたが、
今でも今年はこの作品より面白いと思える作品はなかったなといえるほどの名作です。

 

このライトノベルがすごい!2022でも30位にランクインしてましたね。おめでとうございます。

 

解剖探偵

解剖探偵 (角川文庫)

 

”殺された人の幽霊だけ”見ることができる特殊能力で”自殺に偽装された他殺体”を見抜ける男性警察官と、
優れた推理力で同じことができる女性法医学者がバディを組み、
自殺に偽装された殺人事件の真相を探っていくというストーリーです。

 

つかみだけですでに興味深い内容なのに、
解剖医学的な観点から理論だてて事件の真相を探っていく過程が最後まで丁寧なので、
特殊能力込みの推理ものとして抜群の面白さを提供してくれる名作でした。

 

人間ドラマの部分もばっちりで、読み手からみると犯人であって欲しくない人たちに殺人の動機が浮上するので最後まで心を揺さぶってくれます。

 

あと、ヒロインの法医学者がかわいい。

重い過去背負った無口系クールヒロイン最高。

 

最強にウザい彼女の、明日から使えるマウント教室

最強にウザい彼女の、明日から使えるマウント教室 (ガガガ文庫)

馬鹿みたいなテーマを全力で描く。

そんなラノベの醍醐味、というより私がラノベを愛する理由がぎゅっと詰まった名作。

この作品のテーマは”マウント”。

マウント合戦を勝ち抜いたものが学園の頂点になれるという酔っ払いがノリと勢いで思いついたようなテーマでありながら、
作者の”マウント”という行為の解像度と研究量が尋常ではないせいで、
”マウント”をテーマにした物語として非常に完成度の高いです。

 

完成度が高いといえる理由は2つ。

1つ。マウント合戦という作品世界の勝負基準について無駄に説得力が高い。

そして、マウントという行為の属性分けを確立させているおかげ(せいで)、
マウントの方向性で各キャラの個性を作り出せちゃっているんですよ。


そんな感j知恵、設定やキャラクターの人物像が緻密に作りこまれており、
強固な物語の土台を作り出すことに成功しています。

だからこそ、物語の結果に説得力あり、それでいて馬鹿な方向に全力なので、
頭の悪いコンセプトでありながら説得力があって、いっぱい笑える名作となっているのです。

 

え? 私が何言ってるかわからない? 

私も客観的にみたら自分が何言ってるかわかりません。でも事実なんです。

だからこの作品を読んでみよう。後悔はさせない。クッソ面白いから。

 

推しが俺を好きかもしれない

推しが俺を好きかもしれない (富士見ファンタジア文庫)

めんどくさいヒロインが好きなオタクに刺さるラブコメ

素顔を隠して活動していた推しが実はクラスメイトだと発覚した主人公。

それから間もなくして主人公は推しの性悪な部分を知ってしまい、
二人の不思議な交流が生まれる……というお話です。

 

まあね、最初はタイトルだけ見て「推しと恋愛関係になれる妄想反映が強めの作品なんでしょ~」なんて思いながら見てたんですけど、
主人公も主人公でめんどくさい性格しているおかげで、
読み応えのある非常に面白い関係性が構築されていくのが魅力です。

男キャラに魅力のあるラブコメは良作ということなんですよ。

 

ただし、単にめんどくさい性格なわけではなく、
ちゃんとした彼らなりのポリシーというか行動軸のうえに出来上がっている人物像なので、
ヒロインも主人公も魅力的なキャラクターに仕上がっています。

 

そんな魅力ある人物がちょっと変わった形で交流を深めていくので、
人と人がかかわるだけで面白い物語が生まれているんですね。

 

つまり、ラブコメとしてすごく質が高いのです。

 

そして、私は作中で二人が積み上げてきた関係性とちょっとしたすれ違いを潜り抜けた先にある、最後の1ページのやりとり、最後の1文が大好きなんです。

 

ぜひ。

 

ぜひ読んでください。現在2巻まででてます。

 

小説が書けないアイツに書かせる方法

小説が書けないアイツに書かせる方法 (電撃文庫)

 

スランプに陥っていた小説家の少年の前に現れた謎の美女が「私の考えた小説を書け。じゃなきゃあなたの秘密をばらす」と脅迫して小説を書かせる、というお話です。

 

謎の美女(ヒロイン)が自分で小説を書かない理由と主人公がスランプに陥っている理由は本来全く別のところにあるのですが、
ヒロインの提案はとある事情、しかも「ヒロインのアイデアが面白い」以外の部分で主人公のスランプを解決する糸口になり、さらにヒロインが小説を書かない理由とも結びついていく展開となっています。

 

創作における「生みの苦しみ」というやつと切実に向き合いつつ、
登場人物がクレイジーなので青春コメディとしても抜群に面白い良作でした。

特にタイトル回収するシーンは秀逸すぎて奇声をあげてしまいました。

 

難点はこのブログであまり書きたくない私からは詳細を語れないところ。

でも、面白いんだ。

えっちぃけど創作活動の苦しさや楽しさにに向き合う部分がすごく面白いんですよ。

詳しくは書けないけど私を信じて読んでみてください。

 

隣の席の元アイドルは、俺のプロデュースがないと生きていけない

隣の席の元アイドルは、俺のプロデュースがないと生きていけない (富士見ファンタジア文庫)

 

アイドル時代の振る舞いが抜けない元アイドルの「普通の女の子に戻る」という目的を、
夢中になれることがない主人公が一緒に達成していくというお話です。

 

「元アイドルが同級生になったら周囲の人間はどんなリアクションを取るか」

「そのリアクションにアイドルの周囲の人間はどう反応するのか」

というイベントについてしっかり考察したうえで、キャラクターの個性・立場を組み立てられている良作です。

 

「アイドルを本気でやってきた女の子」と協力する過程で、
「今まで夢中になれるものがなかった主人公」が本気でやりたいと思えることを見つける、という互いに与え合う関係性ができている部分が実に面白い。

 

そのうえで、「本気でやりたいこと」を主人公が見つけたとき、
「その事実を認めることを恐れる」という壁が用意されていることで、
ドラマが二段構えになり、さらに面白くなっていく仕掛けも用意されています。

 

まとめると、キャラクターの土台がしっかりしているからこそ、
イベントを与えることで自然と面白くなっていく、そんな作品だと思います。

 

凛として弓を引く

凜として弓を引く (講談社文庫)

非常に珍しい弓道をテーマにした青春スポーツ小説。

この記事を書く過程で2巻が出てることを知りました。

 

主人公の女の子が弓道に誘ってくれたイケメン目当てという下心満載な動機で弓道をはじめるも、次第に弓道を面白いと感じ、弓道の考え方に感化され精神的に成長していく様子が丁寧に描かれた作品です。

 

物語としてのゴールは昇段審査になるのですが、そのシーンで

  • 弓道ができるのは多くの人の支えがあるからで、当たり前ではないこと
  • 刺させてきてくれた人の教えが自分の射を作っていること

をかみしめて昇段審査に挑む様子がさわやかで読了感が最高です。

 

私は弓道の経験はありませんが、本作に必要な弓道の描写が丁寧なのでそこも含めてお話全体を存分に楽しむことができました。

 

なので弓道が全く分からなくても心配する必要はないですよ。

 

あと、余談ですがこの作品は学校の部活動ではなく町内の弓道同好会なので、
無茶苦茶かっこいい年よりが出てくるのも魅力の1つです。

皆さん、お好きでしょう? かっこいいジジイとババア。

 

本を守ろうとする猫の話

本を守ろうとする猫の話

 

「本との向き合い方への問題提起」という非常に興味深いテーマを取り扱った作品です。

 

  • 読んだ本の数だけ重視して内容を気にしない人
  • 効率を重視して要約だけで十分としてしまう人
  • 売れる本だけを製造する人

 

といった敵キャラを作り、主人公の男の子がその人たちを説得していくというストーリーを展開しつつ、本の作り手読み手に問わず現代人の本の向き合い方を風刺していきます。

そんな珍しいテーマを扱いながらも、少年の成長物語としての一面も良くできており
読了後も大変よろしいものとなっています。

 

個人的には地の文が非常に読み心地の良い文体であるところも推したいですね。

 

 

おわりに

 

以上、8冊の紹介でした。

もっと他の本を知りたいと思っていただけた方は
毎週日曜日の朝9:30ごろに下記のカテゴリで読んだ本の感想を投稿しているので
チェックしてみてはいかがでしょう。まあ、よくても悪くても投稿しているのでハズレはあるでしょうけど。

sol1116.hatenablog.com

 

 

*1:まあ1回だけギブアップした本だけ書いて終わったんですが、ポケモンの発売週だったんで多めに見てください。