今回は珍しく2本!!!
映画館のハシゴとか初めてやりました。
ネタバレは特に配慮しないので気を付けてください。
夏へのトンネル、さよならの出口
ウラシマトンネルという欲しいものが手に入る代わりに、
時間の流れが異常に遅いトンネルを取り扱ったファンタジー作品です。
トンネルの中の時間が遅いということは、
トンネルに入っている間に外の時間がその何倍もの速さで時間が流れてしまうので、戻ってきたら肉体年齢はそのままに戸籍上では何歳も年を取ってしまいます。
要は浦島太郎にでてくる竜宮城と同じです。
個人的に面白いなと思ったのは
「ウラシマトンネルの中はどのぐらい時間の流れが遅いのか?」
を地道に検証していた点ですね。
普通に主人公とヒロインが親睦を深める流れとしても良きなんですが、
「欲しいものが手に入る」という見返りに対する「外の世界で流れる時間」という代償が明確、というか定量的に示されるのがうまいなって思いました。
だからこそ、
「ウラシマトンネルの中に入ってていい限界の時間」を見極める展開がでてきたり、
ウラシマトンネルの中で転んでタイムロスしてしまうことの重みが明確に伝わってきたり、
「ほしいものが出てくるまで待ち続けたら社会的に取り返しのつかない時間が流れる」というリスクの選択を迫られる、
という重みづけが成立していました。
もうこれだけで面白い。
肉体的にはどうあれ社会的に年単位で空白の時間が存在するってかなりのリスクですからね。
主役の演技がちょ~~~っと主人公の妹への執着強すぎたのが気になりはしましたが、
夏のしっとり感がしっかり描かれている良いファンタジー?SF?映画でした。
こういうジャンルなんていうんでしょうね
沈黙のパレード
つらすぎて胃もたれ起こした。
どうしようもない悪人のせいで手を汚してしまった大切な人を守る、
みたいな感動作を期待しちゃうと肩透かしは食らうと思います。
まあ、そういう部分が全くないというと嘘になっちゃうんですけど、
主題はそこじゃないんですよね。
大切な人を殺した犯人が警察の取り調べに対して沈黙を貫き通したせいで不起訴になった。
それに対して被害者の家族&友人が「じゃあ、その犯人を我々が殺したとして、みんなが黙っていたら我々の罪は立証できないよね? 警察さん?」
という命題を投げかけるのが軸となっています。
ほんと、いい皮肉かつ興味深いテーマだなって思いました。
この問いかけに対して一番苦しんでいるのが担当刑事だった草薙刑事だったのがまた辛い。
本作はわかりやすい感動的な展開はないので強く心に残る部分はないかもしれませんが、
「取り調べに対する沈黙」、そして「どうやって沈黙を破るのか」というテーマの落としどころが非常に巧妙な作品で私は好きです。
まず、そもそもの話として、本作で破るべき沈黙は二つあります。
一つは前述の「大切な人」を殺した人間(=「犯人」)の沈黙。
もう一つはその犯人を殺した人間の沈黙です。
どちらも犯人であることには違いありませんが、区別のため後者は「復讐者」としておきましょう。
そして、ずっと破りたかった「犯人」の沈黙は「復讐者」の沈黙を破ることで破られる、つまり「犯人」の罪を立証できる構成になっているんです。
この構成が、ストーリー展開が本当に秀逸かつおしゃれでいいんですよね……。
それでいてめちゃくちゃ後味が悪い。
一人のくずのせいで湯川先生も草薙刑事も被害者もみんなが苦しむ羽目になる。
本当に胸糞悪い(だから好き)。