抹茶タケノコ

毎週日曜に小説の感想を投稿しています。

ラブライブサンシャイン2期5話感想

なんだ……この感情は……

 

μ's2期最終回のような感動でもなくサンシャイン1期8話の胸が締め付けられる感覚でもなく、かといって前回感じた推しメイン回がめっちゃよかったときのような感覚でもない。

 

ましてやくっそつまらなかったわけでもない。

 

ラブライブで、いやもしかしたら僕が見てきた作品の中でも感じたことのない感情を味わっています。

 

なんだこの感情は……わからねえぜ……

 

犬を拾う

 今回のお話は善子が犬を拾うところから始まります。

 

しかし、善子の家はマンション。動物はNGです。

 

そこで偶然このことを知った梨子にしばらく預かってもらうことをお願いします。

 

が、梨子は犬が大の苦手。当然拒否しますが

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1話で散々辱められた仕返しと言わんばかりにと拾った犬に梨子を襲わせ説得します。

 

曜ちゃんはなんでだめだったんでしょうね……聖地と同じなら飲食店だからでしょうか。

 

犬嫌いの話

突然ですが僕は梨子ちゃんと同じく犬が大の苦手でした。

 

しかし、妹が小学校にあがるとき犬を飼いたいといいだしたのです。

 

当然僕は猛反対しました。「絶対こいつら面倒みねえから」と色々いってどうにかして説得しようとしたのですが家族で犬が苦手なのは僕だけ。

 

多数決によって僕は敗北し結局犬をかうことになったのです。

 

飼い始めた当初は「絶対僕の部屋にはいれないで」「食事中は絶対ケージにいれておいて」など条件をつけ渋々受け入れてました。

 

犬嫌いなのになし崩しに飼うことになったってのは梨子ちゃんと同じですね。

 

今はどうなのかって?f:id:SOL1116:20171105224103p:plain

 

こんな感じです。

 

犬嫌いは犬を飼うことになったら誰よりも溺愛する。ここテストにでます。経験談です。

 

 何よりあまり構いすぎなかった分、犬の方からなついてくれるんですよ。

 

それがもう可愛くてしょうがないんですよ。ええ、気づいたら言い出しっぺの妹より真面目に餌あげたり散歩してあげたりしてましたよね。

 

最近、年を取って賢くなったのか生意気になったのか呼びかけても無視されるようになって凹んでます。

 

寒い季節になるとストーブがついてないときに限りぬくもりを求めにキてくれるのですが…あとご飯のときはめっちゃ尻尾振ってきますし、僕がご飯食べてるときもなにかもらえないかなと思って僕に近づいてきます。

 

ずる賢く育っちまったなあ。

 

あ、このセクションはマジで実家の犬の話だけです。

見えない力

僕の最初の予想を裏切ってAパートで犬は無事元の飼い主のところへと戻りました。

 

しかし、喪失感は簡単には埋まりません。

 

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 梨子ちゃんに至ってはこんな絵を書いてしまうくらい情緒不安定になり練習にも影響が出るようになりました。

 

諦めきれずあの犬との再会することを願い飼い主への家へと向かう善子。

 

なぜそこまで執着するのか?という問に善子はこう答えます。

 

「何か見えない力で引き寄せられるようだった。これは絶対偶然じゃなくて何かに導かれたんだってそう思った」

 

善子はこの直前に自分の運の悪さは「自分が特別故に働く見えない力」のせいだと思っていると話していました。

 

もちろん墮天使の事も含めて薄々ないと感じてはいます。でも「本当にないのだろうか?」とも善子は思っています。

 

だから確かめたい。そのために善子はライラプスの元を訪れ出てくるのを待ち、そして出てきたとき声をかけるのではなくただ念じる。

 

もし、見えない力の証明を得られたら、自分が特別な存在であることの証明になりうる。自分の不幸には意味がある。そう思うことができるから。

 

結果は少し振り向いただけでした。

 

 やっぱりただの偶然、と落胆する善子。

 

でも梨子は「振り向いたことこそ見えない力の証明」というのです。

 

信じている限り、その力は働いている

 

慰めでも励ましの言葉でもなく、きっと梨子は本心から善子の「見えない力」という考え方を素晴らしいと感じたのだと思います。

 

なぜ桜内梨子津島善子なのか

 今回の「見えない力」「運命」をテーマにした話。なぜ、主役を梨子と善子にしたのか。

 

劇中の梨子の言葉「全てに意味がある」という言葉にならいその意味を考えて行きたいと思います。

 

結論から言えば「二人が内浦の外の人間だったこと」そして「見えない力の恩恵を大きく受けている二人だということ」だと考えました。。

 

そもそも二人が内浦に来た理由はなんでしょうか?

 

まずは梨子の視点から時折千歌の視点もまぜて振り返ってみましょう。

 

梨子はピアノから逃げるため浦女にきました。

 

梨子はそこで偶然、千歌と出会います。

 

そして千歌にとってスクールアイドルを目指したのは秋葉原偶然吹き飛ばされたチラシをおいかけその先でμ'sとであったから。

 

梨子は偶然μ'sのいた音ノ木坂学院から転校してきた学生であり、作曲することができたことも相まって千歌からスクールアイドルの勧誘を受ける。

 

一方善子は黒歴史から逃げるために浦女にやってきて、そこで偶然幼馴染の国木田花丸と出会い、さらに花丸は偶然スクールアイドルが大好きなルビィと親友になっていました。

 

花丸はルビィのことを大事に思いルビィの夢を後押しすることをきっかけにAqoursへ加入する。

 

これによりで善子はAqoursと、ひいては梨子と接点を持ちます。

 

Aoqursと接点を持つことで千歌に出会い、彼女の「人の持っている魅力に気づき伝えられる才能」によって善子は墮天使としての自分を受け入れてもらい、孤独から救われることになりました。(やだったらやだっていう、が大事だと思うんですよね)

 

更に、東京での大敗北や三年生の諍いを経てAqoursは9人となる。そしてダイヤが企画した合宿の最中、千歌はこれまた偶然ピアノコンクールの話を耳にします。

 

これがきっかけで梨子は再びピアノを好きな自分の気持ちと向き合うことができるようになりました。

 

でも、これらは本当に偶然なのでしょうか?

 

「もしかしたらこの世界に偶然なんてないのかもしれない」

 

「人の思いが見えない力になる」

 

梨子が今回最後にたどり着いた1つの考え。

 

なるほど、考えてみたら先程までに羅列した偶然のなかのいくつかには明確に人の思いが関与している。そして何より全てに意味がある

 

千歌の「輝きたい」という思い。これがきっかけでスクールアイドル部を作った。

 

ピアノと向き合えなくなった梨子を救いたいという千歌の気持ちが梨子を引き寄せ、梨子はAqoursに入った。

 

花丸にはルビィの背中をおしてあげたいという思いが、ルビィには花丸と一緒にアイドルをやりたいという思いがあった。

 

花丸はなかなか学校に来ない善子を気遣っていた、これもまた花丸の思い。

 

これに引かれて善子はAqoursの練習を目にし千歌と出会い自分の居場所を見つける。

 

千歌は梨子にピアノとまた向き合って欲しいと思ったから引き寄せられコンクールの話を知り、梨子はピアノ再び好きになるきっかけを手に入れる。

 

更に善子は「羽を伸ばせる場所が欲しい」梨子は「ピアノと向き合えるようになりたい」という思いを持っている。

 

ああ、確かに人の思いによって、見えない力によって引き寄せられていると考えることができる。

 

何よりその力が善子や梨子のトラウマを押しのける力となった。

 

言ってしまえば偶然かもしれない。

 

でも、千歌がμ'sと出会ったことから梨子がピアノを克服できたところまで全て思いの力によって引き寄せられた結果、運命だと考えたら

 

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素敵じゃないですか。

 

11月8日21時追記:”偶然などない”

ちょっと見えない力と思いについて思ったことがあるので追記。

 

善子の「黒歴史から逃げたい」、梨子の「ピアノから逃げたい」という思い。

 

花丸の「ルビィの背中を押してあげたいという思い」、ルビィの「スクールアイドルを一緒にやりたいという思い」

 

長くなるので割愛しますが、他の登場人物も様々な思いを持って行動しています。

 

いろいろな思いを持った登場人物の巡り合いは偶然に見えるかもしれません。

 

でも、彼女たち同じような状況なら同じような思いを持って、同じような行動をするはずです。

 

仮に一度物語をリセットしても、同じ思いを持って同じ行動をして、そして同じように巡り合う。

 

そう考えればこの巡り合いは決して偶然の積み重ねではなく、必然であり運命といえるなと思いました。そしてそれぞれの思いを持った行動によって巡り合うのは見えない力が働いている。こう言う意味なのかな、とふと思いました。

 

そしてこの考え方は2期3話の千歌の「奇跡に対する考え方」につながります。

 

ものすごい幸運に恵まれたから奇跡なのではなく、必死に頑張った結果が奇跡。

 

偶然が重なって出会ったのではなく、思いによって引き寄せられて出会うべくしで出会った運命。

 

どちらも「運(偶然)ではなく人の思いによって未来が変わる」という考えです。

 

きっとこれはサンシャイン2期に於いてかなり重要なテーマなんじゃいかなあと思ってます。(何番煎じかわからないんであまり深く触れませんけど)

 

さて、そんな梨子の到達した考えは、善子母の忘れた携帯を届けに行ったとき、あの犬に出会った結果得られたもの。

 

犬を預かるという経験はAqoursに引き寄せられた結果得られたもの。

 

その経験は「見えない力」「全てに意味がある」という考えにふれるきっかけ与え、更にその考えは「苦手だった犬を触る」ための力となる。

 

隣の家が千歌の家であることに、千歌が犬を飼っていることにも見えないだけできっと意味がある。

 

ならば、試してみよう。

 

もちろん、善子の考えに触れたこと以外にもノクターンとの出会いにも意味がある。

 

ノクターンの出会いがくれた「しいたけに近づくための力」は

 

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梨子の手にしっかり握られているんですよ。

 

 

 

余談:旧Aqoursについて

 

そもそもの話、千歌がスクールアイドル部を作ることになったのも偶然の産物です。

 

偶然、旧Aqoursが解散していたがゆえに千歌は新Aqoursを結成しました。

 

では旧Aqoursがまだ存続していたらどうなっていたでしょうか。

 

千歌はおそらく果南の馴染みで入っていたでしょう。そうしたら作曲のできる鞠莉がいるため梨子を勧誘することはなかったと思います。

 

一方でルビィは姉のダイヤの馴染みで新Aqoursのときほど抵抗なくAqoursに加入することでしょう。

 

その場合どうなるか。花丸がAqoursに入る必要性はなくなります。すると善子とAqoursの接点がほぼ消失します。

 

 という風に善子と梨子が救われる可能性がかなり薄くなるのです。

 

鞠莉が「無意味」といっていた2年間の争いはこんな形で意味を与えていたんですね。

 

あれ? これでは3年生にとっては本当に無意味な争い?

 

いえ、そんなことはありません。

 

お互い話合うことの重要性? オーバーワークはぶっぶーですわ?

 

もちろんそれを知ることができたのは大きなメリットでしょう。でももっと大事な意味があります。

 

それはAqoursが9人になれたこと。

 

9人になったことでいろんな価値観、多様性が生まれた。それもあるでしょう。

 

ですが、9人になるための過程、旧Aqoursの解散によって作曲ができる桜内梨子が、更にいえば衣装作りの能力を持つ渡辺曜が加入したこと。(あと多分花丸も)

 

これが非常に重要だと考えられるわけです。

 

元々旧Aqours+ルビィでスクールアイドルに必要な技能はある程度揃っていました。

 

Aqoursで作詞をしていたのは旧Aqoursのままでも加入していたであろう千歌ですが衣装と作曲は曜と梨子。

 

この二人が加入するきっかけができたことにより9人となったAqoursでは分担作業が可能になりました。

 

そう、2話の出来事です。

 

学校説明会の曲と予備予選用が同時に迫っている仲、両方の準備を確実に間に合わせるための手段である分担作業が可能になった。

 

更に言えば結局どちらも9人でやったとはいえ、ふた手に分かれて説明会と予備予選を確実に両立するという提案を行うことも可能になった。

 

これらは、少なくとも前者は旧Aqoursの解散によってなし得たことといっていいのではないでしょうか。

 

全てに意味がある。

 

こじつけかもしれませんが、こう言う考え方素敵じゃないですか。

 

僕は梨子ちゃんの「素敵じゃない?」がその前の語りも含めて本当に好きで何度も繰り返してみてしまいました。

 

冒頭に書いたなんと言えばいいかわからない気持ち。

 

最初に見たときからずっと味わっているこの感情。でもすごく心地よい。

 

もうただただ素晴らしいというしかない。

 

次回も楽しみですね。