抹茶タケノコ

毎週日曜に小説の感想を投稿しています。

【感想】小説の一口感想まとめ その5

今週読んだ本の感想を軽く語りつつ、

僕の好みへの適合度を示す指標として以下の基準で点数をつけていきます。

 

10~9:文句なしに好き。10点は特に好き

8~7:気になるところはあるけど見てよかった。面白かった作品。

6~5:面白かったけど、なんか気になる、もやもやするという部分が勝る作品。

4~3:最後まで見たけど、あまり感じるものがなかった作品

2~1:最後までみてもなんか納得できなかったり、無理して最後まで見た作品

0:嫌い。

 

目次

基本的に題名のみ書いてますが、同名の作品がありそうな場合は著者をカッコ書きで記載します。

 

 

#17 木洩れ日に泳ぐ魚

8点。

 

帯に「急展開の連続に一気読み間違いなし!」って書いてあったんですよ。

 

まあ、所詮売り文句でしょうし、あてにしていなかったんですが

 

本当に急展開の連続で一気読みしちゃいましたね・・・。

 

 

引っ越し前夜の男女が「目の前にいる相手がとある男性を殺したのではないか?」とお互いに疑い、夜明けまでにその真実を引き出そうとするーーというところから本作は始まります。

 

定期的に示される新事実が、例えるなら「ふと見かけた写真に信じがたい物が写っていてまじまじと見つめてしまうとき」と同じ感覚で「えっ……マジ……?」と思わせる内容になっているため、帯に書かれていた売り文句のとおりに気づけばページ全部めくってました。

 

この地味に気になる新事実が本作の醍醐味なのでネタバレになりそうな感想は控えるとして、文としての構成についての感想に移ります。

 

まず、この作品はかなり特殊な地の文の構成になっていて、章ごとに男女の視点が入れ替わります。

 

そんな特殊な構成ながら、違和感を覚えたのは最初だけで特に気にならなかったあたり、ここまでしっかりした規則性があれば視点が目まぐるしく変わっても人間は意外とついてこれるんだなあ、というのは新たな発見でした。

 

これは基本となる文章が読みやすかった、という前提があってこそかもしれません。

 

文章が読みやすいだけでなく、改行の頻度がちょうどよかったので視覚的な疲労感がなかったのは本作の個人的な良かった点の1つです。

 

私だけかもしれませんが、改行が全くないと読む気が失せるけど、改行だらけだと逆に疲れるんですよね。

 

続いて描写の話。

 

本作の本筋はミステリ要素なのですが、引っ越し前夜の男女のやり取りを描いているだけあって、お互い黙ってしまったときに空間を支配する換気扇の音を始めとして別れ間際の男女のなんとも言えない微妙な心情が描かれていて、なんか、色っぽかったですね。

 

以前、川端康成の『雪国』の感想を書いた時、男女の仕草や心理の描写がエロ……色っぽかったという内容を書きましたが、本作はその描写の現代版という印象です。

 

ただ、ミステリ的なオチが正直ちょっと微妙だった感はある。

 

全体はすごく良かったし余韻も素晴らしかったんですけど

私はどうしても突き抜けた面白さか、落とし所を重く評価してしまう傾向があります。

 

 

#18 姫騎士様のヒモ

0点。

 

この作品に書けた金と時間がもったいないと思ったし、感想を書くことさえ無駄に思える。

 

でも、負の感情を発散するために書く。

 

僕にこのを書かせている動力源は「つまらない」と言う落胆ではなく、「嫌い」という感情である。よって汚い言葉が飛び交うと思うけど許してほしい。

 

世界観の作り込みは悪くなかったけどストーリーがあまりにも胸糞悪すぎてヘドが出る

 

決して小説としてのデキが悪いわけじゃない。

 

好きな人は好きだと思うし、僕にとって無理な部分に同じ感想を抱いても、

それこそが良さと考える人もいると思う。

 

ダーティーでアングラな雰囲気も楽しめなかったといったら嘘になる。

 

主人公とヒロインの関係も嫌いじゃなかった。

 

ただ単に、純粋に、僕はこの物語が嫌い。

 

あまりにも嫌いすぎて、読み終わった後は衝動的に本を真っ二つに破いてゴミ箱に叩きつけた。

 

主人公の覚悟と動機は理解できなくもないけど

僕はただインパクトをつけるために善良な登場人物を殺害する展開が地雷。

 

そしてあまりにも唐突すぎておいて枯れそうになった。

ふざけんな、時間を返せ。

 

やたらめったらに漢字にルビをつけたり、主人公の語りだったり、

何かと鼻につく描写も我慢してきたけど、最後の締め方で我慢の限界を超えた。

 

意外と最後まで読めるけど嫌い。

 

いや、帯に書かれているような「爆発的な面白さ」とやらがあったら好きになれたのかもしれない。

 

ただ、物語は山もなくオチもなく淡々と進んでいき、

 

主人公は実は強い力持っているけどしっかり活躍する見せ場もない。

 

今持っている負の感情と読後感で物語を振り返ってみると

 

ただ単に性と麻薬と暴力をしつこく描くことでダークな雰囲気を醸し出して

 

最後の最後に

 

「俺はあの子のためならなんでもする。罪悪感に苦しむヒーローなんだ」

 

みたいなことを言い出し、僕の一番の地雷を踏みぬいていった。

 

ついでにいうと事前に醸し出されたダークな雰囲気を読んでも特になんの感情もわかない。

 

親友を手にかけるシーンを見ても、理由はわかるが心情がわからない。

 

ただ驚いただけで驚きの後に他の感情が続いてこない。

主人公の罪悪感とかそういう気持ちが何も伝わってこない。

いや、別に罪悪感ないならそれはそれで淡々としていいんだけど、

なんか罪悪感抱いたみたいな描写があるから疑問が拭えない。

 

つまり、ゴミ。という感想になってしまう。

 

破いた本を送り返すから金と時間を返してくれ。糞が。

 

前から思っていたけど電撃大賞の大賞は僕と趣味があわない

 

#19 時をかける少女

3点。

 

アニメ版見たはずなのに全く話が入ってこなかったです。

 

台詞回しの違和感が強かったのだけど、これは時代のせいなのでしょうか。

 

すごくわざとらしいと言うか、セリフとしても違和感があるというか。

 

アニメ版のセリフに違和感を覚えた記憶はないから現代の作風にアレンジされていたんですかね。

 

セリフへの違和感は一旦置いといて、話の本筋はどうだったかというと、あまりワクワクしなかったです。

 

アニメ版はそれなりに感じる物があったはずなんですけどね。

 

うーん、モヤモヤします。

 

買った本には短編が2本ありましたが、ちょっと読む気になれず「時をかける少女」のみの感想で終わりにしたいと思います

 

#20 とらドラ!(1巻)

8点。

 

とらドラ15周年記念でセールやっていたので1巻だけ買いました。

 

15年か……早いですね。

 

アニメは何度も見ましたが、原作はちらっと3巻まで買った記憶が残っている程度だったので文字媒体でとらドラを読み進めて感覚は新鮮ですね。

 

今でこそ大好きな作品で青春の1ページとして刻まれているとらドラですが、

実はアニメもリアルタイム放映時は亜美ちゃんの話が終わったあたりで切ったのは内緒です。

 

好きになったのは気まぐれに録画していたのを一気見したときでした。

 

……おっと、古のオタクがとらドラの思い出を語るコーナーになるところでした。原作1巻の感想を語らねば。

 

改めてとらドラ1巻読んだ感想ですが、当時原作購入を途中でやめたり、アニメを切った理由がなんとなーくわかりました。

 

地の文はアニメ見てなかったら光景を想像できないところがちらほらあっったり、謎の超能力が一瞬だけでてきたり・・・。

 

まあ、ぶっちゃけ読みづらかったんですよ。

 

でも、つまらなかったかと聞かれたらそんなわけないんですよね。

 

暴れん坊の唯我独尊理不尽娘のようで、誰かを思いやる気持ちと繊細な乙女の部分を持っている大河と、

その大河に対しておかんのようにお節介を焼く竜児の人柄と関係性が読み進めていると楽しくて、心地よいんですよ。

 

二人の関係が周囲に誤解されたことが原因で、竜児の恋路を邪魔してしまったことに大河が負い目を感じるシーン、

 

手のりタイガーと呼ばれることに対して二人きりの夜道で大河が憤慨するシーン、

 

二人の恋愛協力関係を終わらせるために大河が告白して、竜児がなんだかんだでほっとけずにおいしいごはんを作ろうとするシーン、

 

以上3つのシーンが特に二人の人柄や関係性に魅力を感じられて、私は大好きです。

 

「良いラブコメの条件は男キャラに魅力があること」というのが私の持論です。

 

こういうラブコメを見ると「人と人が関係性を構築するだけでも物語は面白くなる」という事実を実感させてくれます。

 

改めて、とらドラ15周年おめでとうございます!