今週読んだ本の感想を軽く語りつつ、
僕の好みへの適合度を示す指標として以下の基準で点数をつけていきます。
10~9:文句なしに好き。10点は特に好き
8~7:気になるところはあるけど見てよかった。面白かった作品。
6~5:面白かったけど、なんか気になる、もやもやするという部分が勝る作品。
4~3:最後まで見たけど、あまり感じるものがなかった作品
2~1:最後までみてもなんか納得できなかったり、無理して最後まで見た作品
目次
基本的に題名のみ書いてますが、同名の作品がありそうな場合は著者をカッコ書きで記載します。
#13 時の渚
10点!!!!!!!!!!!!!
ニジガク4thライブの帰り道に電車内での暇つぶし用に買った作品ですが、大当たりだ。
本当にクッソ面白かった。
私立探偵の茜沢が、末期がんの老人から頼まれた「35年前に生き別れた息子を探してほしい」という依頼を遂行しつつ、3年前に茜沢の妻子をひき逃げした殺人犯を探すというのが大まかな粗筋。
3回目になるけどもうクッソ面白かったです。この作品。
粗筋を2つの「クッソ面白い」でサンドイッチしてしまうぐらい、僕は本作の面白さに興奮しています。
まず、序盤の茜沢が地道に情報を集めるパートの時点で面白い。
事件の背景の説明、捜査の説明、説明中に挟まれる登場人物の身振り手振り、地の文全てが読みやすく、読んでいて全然疲れない。
文章そのものが読んでいて楽しいものだから、ページが進む進む。
さらに物語の緩急の付け方がうまい。
終盤で追い詰められた犯人が暴れるシーンがあるわけですが、緊張感が文章からしっかり伝わってきました。
序盤は読みやすい文章で読み手のモチベをキープした後は、しっかりつ作られた緊張感がページをめくる手を止められなくしていくんです。
章の区切りで作業に戻ろうとしていたんだけどな!
最後の100ページは一気に最後まで読んでしまいました。悔しい。
正直言うと、途中で「多分こういうオチなんだろうな~」と思って感づいてしまって、
それがほぼほぼ確定したシーンで若干萎えていました。
でも、実際に予想通りの展開になってしまっても、セリフ使いとか描写のおかげで引き込まれたというか、私の心にしっかり傷をつけてくれました。
王道とベタは紙一重ってやつですね。
その後なんやかんやあって最後に真相が明かされるシーンでは、目頭抑えてました。
この辺は私の涙腺がもろくなっただけかもしれません。
文が読みやすく、ストーリー展開が面白く、最後にしっかり爪痕残していく、読了感もバッチリ!
ということで文句なし!
強いて気になるところを言うなら、
最後の最後で偶然が重なり過ぎじゃないか?
内容を盛り込み過ぎじゃないか?
という点になりますが、暴力的な面白さの前には些末な問題です。
今の私の面白かった感情しか残っていません。
現状唯一の10点である真夏の方程式とどっちが好きかと聞かれたら……
好みで言えば真夏の方程式なんだけど、面白さで言えばこっちですかねえ……
悩むなあ。
#14 「ずっと友達でいてね」と言っていた女友達が友達じゃなくなるまで
3点。
タイトル通り、親友の女友達を異性として好きになった少年の葛藤を描いた作品です。
具体的にはーー
主人公にはネトゲ上に最高の相棒と呼べるほどの親友がいた。
男同士だと思い気楽に接していた主人公だったが、
ある日リアルで対面したことで、親友が女の子であることを知る。
最初は少し驚いた程度だったがリアルでの交友が深まるにつれて、お互いが異性であるがゆえに(主に男側に)生まれる「下心」を軸に主人公もヒロインも男女それぞれの立場で葛藤する。
ーーというお話になります。
全体の感想としては、
ヒロインの「男の人が優しくしてくれるのは下心あってゆえのことだから、お付き合いしたら主人公は喜んでくれるかな」という、主人公のことが好きだけど恋愛がよくわからないが故の考えはいじらしくて可愛かったです。
ただそれ以外は何気ない毒にも薬にもならない男女のやりとりという感じでしたね。
いや、一応、ヒロインが自分の見た目にコンプレックス(アルビノ)を抱いていて、それを主人公が解消するという山場や、
互いに異性だから生まれる下心に苦しむという描写はしっかりとあったんですが、どうもうまく頭に入ってこなかったです。
二人会話が説明的すぎたせいなのかもしれません。
ただ、甘々な二人のやりとりや、初々しく互いを意識する様子は描かれてるので好きな人は好きだと思います。
私は正直刺さらなかった、少なくとも今の気分に合わなかったです。
あと、どうでもいいですがヒロインの設定が「ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った?」とダダかぶりしていたのがどうしてもチラツキました。
まあ、アニメ1話しか見ていないのであちらと展開が同じかどうかまでは知りませんが。
#15 ガリレオの苦悩
6点
正直もやもやするところも気になるところはなかったけど、7点つけた他の作品ほど好きな部分もなかったのでこの点数。
普通に読みやすく、普通に面白かったのですが、
この本に収録されていた作品は細部は違えどすべてドラマ化されており、
ドラマの方でトリックも知っていたので驚かされることもなかったです。(これは僕が悪い)、
真夏の方程式や容疑者Xの献身では文字媒体ならではの心理描写もあったので
2つの媒体の違いを楽しむことができましたが、
こちらはドラマか小説のどちらかで十分だと思いました。
一言でまとめれば、シリーズ物の普通に楽しめる短編集って感じです。
#16 俺の召喚獣、死んでる
10点。
私はファンタジー小説を読むと設定を理解することに疲れてしまい、途中でやめてしまうのですが、本作は設定をわかりやすく簡潔に描写していたので疲れを感じることなく読むことができました。
いや、正確には設定を把握することに疲労を感じないぐらい、ストーリーが面白かったというべきかもしれません。
粗筋を紹介するとーー
神話に名を刻むほど強力な魔獣・パンドラーーの死体を召喚した主人公・フェイル・フォナフがどうにかしてパンドラの死体を動かすために試行錯誤を繰り返す。
ーーというお話です。
この試行錯誤を繰り返すというのが今作の一番面白かったところで(ネタバレ回避のためにぼかします)
死体を動かすにはどうしたらいいんだろう
↓
あの人に聞いてみよう
↓
やり方を思いついた
↓
このやり方には課題がある
という感じに課題の整理、アイデアの調査、実践、改良のサイクルがしっかり丁寧に描かれていました。
魔獣の死体を動かすための策もシンプルで納得できるアイデアだったのもよかったです。思わず「なるほど」と言ってしまいました。
試行錯誤して課題を解決する過程を細かく丁寧に描写されているところも大きな魅力ではあるのですが、本作のもう1つの魅力は世界観の作り込みもかなり丁寧に成されている印象を受けたところです。
なぜ、別の召喚獣を使わないのか(無理して死体を使わなきゃいけないのか)と、当然すぎて見逃してしまいがちな疑問にも答えとなる設定がしっかり用意されています。
これらを始めとして世界観の設定がかなり細かく作られている印象を受けました。
しかし、かなり設定が練られている印象を受けながら長ったらしく説明されることはなく、必要な時に簡潔な文章で小出しに説明されていくので全く疲れません。
あるいは、疲れさせないぐらい世界観の描写や前述の試行錯誤の様子が面白いので読んでいて心を躍らせてくれるのだと思います。
更に、試行錯誤や世界観の丁寧な描写に飽き足らず、最後のバトルシーンまでの運び方、バトルシーンの描写自体も胸アツ。
それでいて主人公のチームメイトを始めとした登場人物も魅力的なのであっという間に読み終わってしまいました。
もう、文句なし。10点をつけざるを得ない。
正直10点つけるかすごく悩んだんですよね。
というのも時の渚や真夏の方程式のように僕の心に爪痕を残すことがなかったので、面白かったけど10点になるのかという点で葛藤してました。
でもよく考えてみたら、10点つけた作品が全部ミステリだったことに気づいたんですよね。
これ、単にミステリが好きなだけなんだわ、と
結果、方向性が違うだけでこれは間違いなく10点の作品だという結論になりました。
本当に面白かった。ファンタジー小説でここまで気に入ったのはダンまち以来な気がします。
単巻もの(現時点では)だと初めてなんじゃないでしょうか。
冒頭の通り設定の理解で疲れて最後まで読めないことがほとんどなので。