抹茶タケノコ

毎週日曜に小説の感想を投稿しています。

【感想】小説の一口感想まとめ その8

今週読んだ本の感想を軽く語る記事のその8です。

 

読んだ本には僕の好みへの適合度を示す指標として以下の基準で点数をつけていきます。

 

10~9:文句なしに好き。10点は特に好き

8~7:気になるところはあるけど見てよかった。面白かった作品。

6~5:面白かったけど、なんか気になる、もやもやするという部分が勝る作品。

4~3:最後まで見たけど、あまり感じるものがなかった作品

2~1:最後までみてもなんか納得できなかったり、無理して最後まで見た作品。

0:嫌い。

 

目次

基本的に題名のみ書いてますが、同名の作品がありそうな場合は著者をカッコ書きで記載します。

 

#25 マツリカ・マジョルカ

1点。

 

ミステリ短編4作からなる短編集でしたが、1作目だけ読んでギブ。最後まで読んでたらどうなるかはわからりませんが、続きを読む気にはなれませんね……。

 

1人称視点の地の文にノイズが多くて読みづらいうえに、話の本筋も「だから何?」という感想しか持てませんでした。

 

登場人物たちの行動理由について説明があり、一応筋は通っているものの、何がしたいのかがよくわからんかったです。

 

読解力に自信がないので読み直せばわかるのかもしれませんが、地の文が読みづらいのでそこまでする気にはなれないです。

 

あと主人公の思考がいちいち気持ち悪けど、共学に通う男子高校生はいつもそんなこと考えるのだろうか。

 

#26 私より強い男と結婚したいの

0点。

 

厳密には100ページも行かずにギブアップしました、

 

タイトルで興味深かったのですが、あらすじを読んで購入を少し悩んだ作品でした。

 

最終的に「食わず嫌いはよくない」と買ったのですが……そのまま棚に戻しておけばよかったですね。

 

第1に地の文が壊滅的に読みにいです。

具体的に言えば不要な読点や違和感のある動詞の活用が頻出しています。

粗筋や挿絵で大体わかってしまっている結末までの道のりを、この文章とともに歩む気持ちにはなれませんでした。

 

第2にセリフも内容が薄いです。

 

まあ、ラブコメに内容の濃いセリフを求めるのもおかしいかもしれませんが、セリフからキャラの魅力を感じ取れず二人の行動を見ていたい、と思えなかったです。

 

時々パンチのきいたセリフもありますが、ほとんどタイトルで触れられている内容だったので、先を見たくなるほどの効果はありませんでした。

 

一応、YouTubeの漫画のノベライズ版?らしいので、そっちで楽しんでね、ってことなんでしょうか。

 

#27 偽りの血

8点。

 

以前、大絶賛した時の渚と同じ作者です。

 

久々の作者買いです。やっぱりこの人はいい文章を書きますね。

 

読むだけで楽しい。興味をそそられる。そんな文です。

 

多分情報の密度が濃いから楽しく感じられるのだと思います。

 

さて、物語の感想に移りましょう。

 

今回はとあるライターが、6年前に自殺した兄の死の真相を探るお話でした。

 

物語の感想自体は「普通に面白かった」「オチはちょっと微妙かも」という味気ない感想になってしまうのですが、構成がよく作り込まれているので、ページをめくる手が止まりませんでした。

 

つまり、オチまでの過程がすっごく楽しかったです。

 

この作品では主人公が障害を打開する手段や、敵役を含めた登場人物の行動理由、そして真実にたどり着くまでの過程が具体的かつ、理論的に展開されていきます。

 

その結果どうなるかというと、次にやるべきことや示される結論を少しずつ匂わせてくるので、続きを読みたくなるのです。そんな構成になっています。

 

問題のオチは個人的には微妙でしたが普通に好きな人は好きだと思います。

 

ただの僕の好みです。

 

#28 推しが俺を好きかもしれない

10点!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

やっぱファンタジア文庫なんだよなあ、って思いました。

 

主人公が自分の推しであり、クラスメイトでもある女の子の本性を知ってしまったことがきっかけで始まるラブコメです。

 

さて、私はめんどくさくて性悪なヒロインが好きです。

 

そして、ラブコメで大事なのは「男キャラに好感を持てること」というのが私のモットーです。

 

本作はどちらも満たしています。つまり、名作です。

 

クッソ面白いです。

 

面白ポイント1:二人のやり取りが読んでいて楽しい

 

本作のほとんどは性悪ヒロインと陰キャオタク主人公がボケと突っ込みの応酬は繰り広げられているのですが、

 

それがまあ、テンポいいし、楽しいし、程よく笑えるんですよ。

 

ずっと見ていたい。

 

面白ポイント2:二人のキャラがちゃんと魅力的に仕上がっている

主人公は若干、ヒロインの方は結構、人間性に問題を抱えてはいるのですが、

二人とも譲れないポリシーのようなものをしっかり持っているところが魅力的です

 

それでいて、かわいらしい部分を持っているので、キャラクターとしてちゃんと好きになれます。

 

問題のある人間性についても、互いにそこにツッコミを入れる構図になっており、

たいへんにぎやかに二人が関係性を構築していきます。

 

ほんと、二人の関係見るだけですごく楽しいんですわ。

 

だからこそ、二人の関係性にフォーカスして、

丁寧に下積みを築きあげていったからこそ、

物語の最後で二人がちょっと疎遠になったとき、

主人公が喪失感を覚えたことに説得力を持たせられていました。

 

面白ポイント3:仲直りの仕方

なんやかんやあって二人は仲直りするのですが、

その仲直りの方法がね、とっっっっても良かった。

 

二人がいい感じに互いの面倒くさい部分をこじらせてて、

それでいて、これまでのストーリーで積み上げたものを活かした仲直りの仕方でした。

 

素晴らしい。本当によくできています。大好きだ。

 

面白ポイント4:最後の1ページ。

 

仲直りも済ませて、そのあとの関係を描いて、

物語としての最後の1ページに描かれたシーン。

 

このシーンは何度でも読み返したい。

 

この作品で二人が積み重ねてきた関係性や経験。

主人公がヒロインとの出会いを通して得たもの。

そして、主人公というキャラクターの最大の魅力。

すべてが最後の1ページにしっかりと詰まっています。

 

ほんっっっっとうに好き。最高だった。

 

#29 推しが俺を好きかもしれない 2

9点。

 

好きすぎて1巻を読み終わった次の日に続編買っちゃったよ……。

 

新キャラ登場しましたね。1巻から存在は仄めかされていましたが。

 

新キャラも尖っている部分があって、でもちゃんと譲れないポリシーを持っている子として作られており、魅力的な子でした。

 

魅力的っていうか、僕がめんどくさいヒロイン好きなんでしょうね。

 

1巻からいえることですが、このシリーズはキャラクターの作りこみが非常に丁寧です

 

それぞれに強い信念があって、

憎めない程度に短所があって、

キャラクターがしっかり作りこまれているからこそ、

彼ら彼女らが繰り広げる会話が自然で、面白い内容に仕上がっている

ーーのだと思いました。

 

そして、キャラクター達の会話は笑いを提供するためだけでなく

物語の結末に説得力を持たせるために、必要な役割を着実に遂行しています。

 

もう、ほんと面白い。このラブコメ

 

永遠に続いてくれ。

 

前回より1点下がったのは決して何かしらの不満があったわけでなく、

1巻の結末が好きすぎて同じ点をつけるのはちょっと違うな、と思ったからです。

 

実質10点、少なくとも9.5点ぐらいはあります。

 

何度でもいうんですけど、読みやすくて面白い名作なので、少しでも気になった人は本当に読んでほしい。

 

ブコメとして質が高すぎる。