今週、読んだ本の感想を軽く語る記事のその23です。
読んだ本には僕の好みへの適合度を示す指標として以下の基準で点数をつけていきます。
10~9:文句なしに好き。10点は特に好き
8~7:気になるところはあるけど見てよかった。面白かった作品。
6~5:面白かったけど、なんか気になる、もやもやするという部分が勝る作品。
4~3:最後まで見たけど、あまり感じるものがなかった作品
2~1:最後までみてもなんか納得できなかったり、無理して最後まで見た作品。
0:嫌い。
X:評価不可能
#46 翼がなくても
9点。
幼馴染が起こした交通事故に巻き込まれ、左足を失ったアスリートが
競技用の義足の力でアスリートの世界に戻ろうと奮起する……
その一方で事故を起こした幼馴染は何者かに殺害され、
刑事が事件の真相を追う、という2つの物語が同時に展開される作品です。
本作の主人公は片足を失ったアスリートなので、主人公がアスリーとしてどうよみがえるか、というストーリーなのですが、
正直いって読み進めているうちは狂気ともいえるほどの無茶をする主人公があまり好きになれませんでした。
そのうえ、殺人事件の真相を刑事が追いかけるストーリーが進んでいくので、詰め込みすぎでわかりづらい……
と、思ってました。
でも、最後まで読んだ後に、
そりゃさ、無茶するって。
簡単には諦められないって……
と、横暴にすら見えていた主人公の行動への印象ががらりと変わってしまう展開が待ち受けていました。
以前読んだ「死にゆく者の祈り」という作品でこの作家さんの文を気に入り、作者買いしたのですが、正解でしたね。
特に素晴らしかったのは主人公が左足を失った直後の描写ですね。
左足を失った人間が日常生活に戻れるまでの描写や
夢を奪われ挫折した人間の心理描写が非常に細かく、
文章を読むだけで、いたたまれない気持ちにすらなるほどでした。
読みやすく、状況がしっかり伝わってくる技術の極致ともいえる文章を書く作家さんだな、とあらためて思いました。
それでいて題材も非常に興味深い。
今後も定期的に作家買いしていきたいですね。