今週読んだ本の感想を語る記事その53です。
読んだ本には僕の好みへの適合度を示す指標として以下の基準で点数をつけていきます。
10~9:文句なしに好き。10点は特に好き
8~7:気になるところはあるけど見てよかった。面白かった作品。
6~5:面白かったけど、なんか気になる、もやもやするという部分が勝る作品。
4~3:最後まで見たけど、あまり感じるものがなかった作品
2~1:最後までみてもなんか納得できなかったり、無理して最後まで見た作品。
0:嫌い。
X:評価不可能
#89 斜陽
7点。
教養として時折20世紀初頭の文学作品を読むようにしているのですが、その手の作品の中では一番好きかもしれません。今までは夏目漱石の『三四郎』がトップだったのですがもしかしたらそれに並ぶかもしれないです。
最初は普通にキレイな文だな~。こういうのが20世紀初頭の文学作品の魅力だよなあ、などとのんきに文字を目に入れていたのですが、後半から一気に引き込まれました。
没落してしまった貴族が今までと違う世界で足掻く様・・・というか心情がすごく刺さりったんですよね。
ちゃんとお話を理解できた気はしませんが、違う世界になじもうとする気持ちと、周囲からの扱いと、誇り高い立場であったことのプライドなどがまとわりついて出来上がった複雑で繊細な心情をぴっちりと描かれていたことだけは伝わってきました。
上手く語れる気がしないのですが、もう1つ刺さった言葉の紹介だけさせてください。
人間は自由に生きる権利を持っていると同様に、いつでも勝手に死ねる権利も持っているのだけれども、しかし、「母」の生きている間は、その死の権利は留保されなければならないと僕は考えているんです。それは同時に「母」をも殺してしまう事になるのですから。
別に死にたいと思っているわけではないので、この部分を読んで踏みとどまったとかそういうわけじゃないです。いや、死にたいと思ってたら踏みとどまってたのかもしれませんけど、現状そこまで追い詰められてないです。
ただ、「母」の生きている間の子の自殺は「母」という側面を殺すことになる、という考えにすごく納得したというか、今まで考えたことのなかった視点を与えられた感じがして興味深いと思ったんですよね。
興味深いと思うと同時に、勝手に死ねる権利を持っているところからも込みで、すごく好きな考えだなって思いました。