抹茶タケノコ

毎週日曜に小説の感想を投稿しています。

【感想】映画の一口感想まとめその23【BLUE GIANT/湯道】

4カ月ぶりの映画感想。

2本連続で見てきましたがどちらも席があんまりよくなくて首痛めました。

 

 

 

 

BLUE GIANT

世界一のジャズプレイヤーを目指す青年の青春ストーリー。

登場人物のキャラクター像と音楽はすごくよかったです。ただ、演奏シーンの作画がちょっと主張激しかったのとストーリーがあっさりしていたのが気になりました。

特に演奏シーンのCGは気になる部分が多くて、CGがうまく馴染んでないというか、動きが滑らか過ぎて浮いてたんですよね。情熱的な演奏をしているシーンのはずなのに演奏よりも「あ、CG使ってるんだな~」という感想がどうしても頭に浮かんできてしまう。

 

ストーリーはよく言えば王道……悪く言えば想像通り(≠期待通り)って感じです。

それなりの困難は与えられますが、苦悶する描写は描かれるものの割とあっさり解決します。そして苦難を挽回する機会も特に何か行動するでもなく、あらかじめ約束されたわけでもなく与えられます。

 

極めつけは最後に与えられた困難。

雰囲気で「こうなりそうだな~」って思った映像が次のシーンで描かれましたし、解決も・・・「うん、よかったね」って思っちゃう手法で解決しました。

演奏はすごくよかったのですが逆に言うと演奏の良さに助けられている感は否めないです。あと役者の演技もちょっと微妙だったかな……。

湯道

 

 

めっちゃくちゃ面白かった。

入浴というテーマを「いかれてんじゃねえか?」ってぐらい突き詰めた傑作エンターテイメント映画です。

ヒノキ風呂が出てくるだけで軽く泣きそうになる映画なんてあります?あるんですよ。

 

ざっくりと粗筋を言うと、

 

亡き父親が経営してきた銭湯『まるきん温泉』をたたんでマンションに建て替えようとする男と、『まるきん温泉』を切り盛りする男の弟の話、

 

という感じです。

 

ただ『まるきん温泉』の兄弟の話はあくまで映画の主軸に過ぎず、兄弟が経営する切り盛りする『まるきん温泉』を中心に複数のサブストーリーが展開されるのが本作の特徴の1つです。

このサブストーリーが数え切れないぐらい多いんですよ。10は越えてないかもしれませんが、映画全体としての話がとっ散らからないか心配になるぐらい次々とサブストーリーが始まっていきます。

 

ですが。But。しかし。

 

全て「入浴」という文化、つまり「入浴という行為」と「入浴から広がる人間模様」が軸になっているので、サブストーリーすべてにしっかり決着をつけたうえで、きれ~~~~~~~~に「まるきん温泉」の兄弟の話に収束して、納得感十分の爽やかな終わり方でした。

色んな要素を詰め込んでいるのに全然ちぐはぐになっていないし、1つ1つはシンプルだけど深くて力強い、複数のサブストーリーをうまく組み合わせて主軸にもしっかり絡ませる構成力には脱帽です。

マジで面白いんで観に行きましょう。マジで面白いから。(語彙力)

 

さて、そんなストーリーとしての面白さ以外に、本作には個人的に気に入っているポイントがあるのでその話をしましょう。

何をそんなに気に入っているかというと、台詞に頼らない登場人物の意思表現/感情表現の技法です。

これは役者さんの表情や所作の演技ももちろんですが、登場人物のやり取りの細かい積み重ねだったり、銭湯ならではのギミックを用いたりして登場人物の意思・感情を台詞で直接的に示さずに表現されていたのが本当に素晴らしい。

言葉にすればシンプルなのかもしれませんが、会話の積み重ねや役者さんの表情で言語化が難しい感情を表現されているのが良かった。

 

そして、銭湯ならではのギミック。

具体的にどんなギミックなのかは伏せますが序盤、中盤にさりげな~く使われて、終盤に伏線として回収されて、最後の最後に大事な決断のために使われていました。

物語全体を通してさりげなく、しかし明確な意図をもって使われてきたギミックなので、言葉にしていないのにちゃんと最後の決断の意味が伝わるんですよ。こういう表現が私は大好きです。

 

本当に素晴らしい映画だったので公開中にぜひ見てください。

本当に面白いから!!!

 

どうでもいいですけど「風呂屋やってます」ってセリフ、誤解招きそうですよね