今週読んだ本の感想を語る記事その58です。
読んだ本には僕の好みへの適合度を示す指標として以下の基準で点数をつけていきます。
10~9:文句なしに好き。10点は特に好き
8~7:気になるところはあるけど見てよかった。面白かった作品。
6~5:面白かったけど、なんか気になる、もやもやするという部分が勝る作品。
4~3:最後まで見たけど、あまり感じるものがなかった作品
2~1:最後までみてもなんか納得できなかったり、無理して最後まで見た作品。
0:嫌い。
X:評価不可能
#94 革命前夜
9点。
ベルリンの壁崩壊前のドイツを生きる音大生たちを描いた作品。
今週は忙しすぎて木曜日の時点でぐらいしか読めていなかったのですが、後半200ページが面白すぎてなんとか土曜日のうちに読み終えることができました。
膨大な下調べに基づく裏付けを感じざるを得ないほどに、1980年代ドイツの音大という独特な舞台を綿密に描しており、そこで織りなす人間模様が本当に面白かったです。
まあ、私は音楽にも歴史にも詳しくないので何の根拠もないのですが、それぐらい説得力がありました。こういう舞台描写の説得力が確かだと展開されていく人間模様に集中できて、気づいたら引き込まれていくんですよね。
久々に恐ろしい表現力を持った作家さんに出会ったな、って思いました。登場人物の仕草を想像できるぐらい綿密に描写しているのに長ったらしく感じない。すごい。
それに加え、感情を示唆する文のセンスがずば抜けています。
感情を暗喩する(暗喩で正しいのか、これ?)表現はあらゆる小説に存在しますが、こだわりすぎてどういう感情表現したいのがわからない表現とか、直接的すぎてチープな表現がほとんどない。バランス感覚が非常にちょうどよいです。
感情を全然直接的に表現していないのに、スッと登場人物の感情が伝わってくるんですよね。