今週読んだ本の感想を語る記事その85です。
読んだ本には僕の好みへの適合度を示す指標として以下の基準で点数をつけていきます。
10~9:文句なしに好き。10点は特に好き
8~7:気になるところはあるけど見てよかった。面白かった作品。
6~5:面白かったけど、なんか気になる、もやもやするという部分が勝る作品。
4~3:最後まで見たけど、あまり感じるものがなかった作品
2~1:最後までみてもなんか納得できなかったり、無理して最後まで見た作品。
0:嫌い。
X:評価不可能
#120 夜のピクニック
10点。
読み終わった後、思わず頬がちょっと緩んでしまうような後味の良い名作でした。
「クラスメイトと異母兄妹である」という誰にも言えなかった秘密を抱えている主人公が、その秘密を清算しようという決意を胸に高校最後の伝統行事「歩行祭」に挑む、という作品です。
兄妹と言っても、父親の不倫できた異母兄妹なので関係性は悪く、二人は一度も話したことがありません。「清算」とは腹違いの兄に話しかけることを指します。
「歩行祭」は全校生徒が夜通しかけて80km歩くという変わった行事なわけですが、「クラスメイトが異母兄弟」という秘密を抱えている事実がいい感じのスパイスになっていて、夜通し歩くだけのイベントの中で進んでいく人間模様が面白かったです。
互いに腹違いの兄妹どう接していいのかわからなかったり、距離を取っているせいで他のクラスメイトに妙な勘違いをされたり。
他のクラスメイト達はクラスメイト達で高校最後の行事の渦中で学校の思い出、後悔、将来のことを語りあったり。
そんな良い意味で未熟な登場人物たちの姿にノスタルジックな気持ちにさせられて読み終えたら、不思議な幸福感に包まれました。
面白かった。そして、それ以上に「読んでよかったなあ」という穏やかな気持ちにさせてくれる作品です。