抹茶タケノコ

毎週日曜に小説の感想を投稿しています。

【感想】小説の一口感想まとめ その19

今週から全部の本に表紙を載せることにしました。

 

ということで。。

今週、読んだ本の感想を軽く語る記事のその19です。

 

読んだ本には僕の好みへの適合度を示す指標として以下の基準で点数をつけていきます。

 

10~9:文句なしに好き。10点は特に好き

8~7:気になるところはあるけど見てよかった。面白かった作品。

6~5:面白かったけど、なんか気になる、もやもやするという部分が勝る作品。

4~3:最後まで見たけど、あまり感じるものがなかった作品

2~1:最後までみてもなんか納得できなかったり、無理して最後まで見た作品。

0:嫌い。

 

#41 隣の席の元アイドルは、俺のプロデュースがないと生きていけない

10点。

隣の席の元アイドルは、俺のプロデュースがないと生きていけない (富士見ファンタジア文庫)

 

グルービーだぜ。

 

面白すぎて日曜日に読み始めて1日で読み終わっちまった。

およそ2ヶ月ぶりの10点です。

 

本作は、夢中になれることがない主人公が、

アイドル時代の癖が抜けない元アイドルの同級生の「普通の女の子に戻る」という目的を一緒に達成するという物語。

 

本作の良さは帯に記載されている、丸戸史明先生*1の推薦コメント

 

あ、みんな超重い。最高

 

の通りです。もうこれがすべて。この作品の良さを最も簡潔に表した文です。

 

日本の河川の特徴を表す文「短く急」と同じぐらい完結で的確な表現です。

 

めんどくさい女の子が一番可愛いんですよ。本作のあとがきにもかいてあります(ガチ)。

 

方向性は違えど、ヒロイン3人が抱える胃もたれするほど重い感情を丹念に描写しており、読み手の心にガッツリ爪痕を残してくれる良作でした。

 

重い感情というのは恋愛感情ももちろんなのですが、

各ヒロインの

  • 成し遂げたいこと
  • 許せないこと
  • 好きなこと

といった要素を

「元アイドルが同級生になったら周囲の人間はどんなリアクションを取るか」

「それに対してメインキャラはどんな反応を返すのか」

というイベントを通して描き、キャラクターの個性をしっかり印象づけられていたのがとっても良かったです。

 

そして、主人公。良いラブコメは良い主人公が不可欠なのよ。

 

本作は「元アイドルを普通の女の子に戻す」というテーマを主題とし、

その裏で「主人公が夢中になれるものを見つける」という裏テーマが進んでいくわけですが、

 

主人公が夢中になれることを見つけるまでの過程も本作の魅力を語る上で外せないポイントとなります。

 

元アイドルのヒロインを普通に女の子に戻す過程で、

ヒロインから刺激を受け、”夢中になれるもの”を見つけるという、

持ちつ持たれつ、与えたり与えられたりする関係が育まれていく様子が見ていて楽しかったです。

 

特に、最後に主人公が「本気でやりたいことは”これ”である」と認めることを恐れるシーンが刺さります。

 

そして、その葛藤をヒロインが自分の経験から

「夢中になれるものを見つけてしまったから止まれない」

と吹き飛ばす。

 

このやり取りが、二人の与えたり、当たられたりする関係の描写として非常に美しくて、大好きな作品になりました。

 

総じて、キャラクターの信念をしっかり定め、

キャラクターにイベントを与えた際の行動がしっかり考え込まれている良作でした。

 

続刊があればすぐにでも予約したい所存。

 

やっぱりファンタジア文庫は僕に刺さるぜ!!!

 

#42 ジャッジメント

6点。

ジャッジメント (双葉文庫)

 

被害者(あるいは遺族)が犯罪者への復讐を合法的に刑罰として執行できる法律、『復讐法』が制定された世界を舞台とした作品。

 

ただし、復讐は受けた被害と全く同じ内容しか許されず、かつ自身の手で執行しなければならない。

 

復讐とはいえ、合法的とはいえ、自分の手で処刑することへの恐怖と犯人への憎しみのジレンマを主軸に

5つの地獄が濃厚に描かれています。

 

ほんと、よく考えるなあと思えるほど、復習法によって生まれる地獄のバリエーションが豊富かつ、その解像度が高く、

いい意味での息苦しさを味わうことができました。

 

ただ、五番目のお話がちょっと微妙だったのと、被害者遺族の自分語りが長ったらしかったのが残念。

 

いや、テーマだけに長ったらしかったとか言っちゃダメだと思うんですけど、仕事終わりの疲れた脳にはキツかったです。